[PR] 当サイトはアフィリエイト広告(Amazonアソシエイト含む)を利用しています

ホーム / 日本固有の論点 / 技適と個人輸入

スマートグラスと技適:個人輸入の落とし穴と確認方法

海外通販で気になるスマートグラスを見つけたとき、価格や送料より先に確認すべきものがあります。「技適マーク」です。Bluetooth・Wi-Fiを積んだスマートグラスは電波法上の無線機器であり、技適のない機器を国内で使うと電波法に抵触するおそれがあります。本記事では、技適の基本から購入前の確認手順までを整理します。

スマートグラスから出るBluetooth・Wi-Fi電波と認証マークのチェックを描いたイラスト

Contents

  1. 技適マークとは:電波法と技術基準適合証明
  2. なぜスマートグラスに技適が関係するのか
  3. 技適マークのない機器を国内で使うリスク
  4. Ray-Ban Metaが長く日本で買えなかった背景
  5. 技適の確認方法:購入前にできる3つのチェック
  6. 個人輸入前のチェックリスト
summary Bluetooth・Wi-Fiを搭載するスマートグラスは、電波法上の無線設備に該当します。技適マークのない機器を日本国内で使用すると電波法に抵触するおそれがあり、個人輸入では特に注意が必要です。購入前に総務省の技適検索で認証の有無を確認し、迷う場合は国内正規流通品を選ぶのが安全でしょう。

SECTION 01技適マークとは:電波法と技術基準適合証明

技適マークとは、その無線機器が日本の電波法に定める技術基準に適合していることを示すマークです。正式には「技術基準適合証明」および「工事設計認証」という2つの制度があり、いずれかの認証を受けた機器に、〒マークに似た記号と認証番号の組み合わせが表示されます。一般にはこれらをまとめて「技適」と呼びます。

なぜこのような制度があるのかというと、電波は限りある共有資源だからです。日本国内で使える周波数帯や出力の上限は電波法と関連法令で細かく定められており、基準を外れた電波を出す機器が混ざると、他の通信(携帯電話やWi-Fi、さらには消防・救急無線のような重要な無線)に混信や妨害を与える可能性があります。技適は「この機器は日本のルールに沿った電波しか出しません」という確認の仕組みだと理解するとよいでしょう。

重要なのは、電波のルールは国ごとに違うという点です。米国にはFCC、欧州にはCEマーキング(RED指令)という同様の制度がありますが、これらの認証を取っていても日本の技適を取っているとは限りません。海外では合法的に販売されている機器が、日本の基準では使えない周波数や出力を使っている、ということが普通に起こります。個人輸入の落とし穴は、まさにここにあります。

note制度の正確な内容や最新情報は、総務省の「電波利用ホームページ」で公開されています。本記事は制度の概要を紹介するものであり、法解釈の最終確認は必ず総務省の公開情報で行ってください。

SECTION 02なぜスマートグラスに技適が関係するのか

「メガネ型のガジェットに電波法?」と意外に感じるかもしれません。しかし、現行のスマートグラスはほぼすべてが該当します。理由はシンプルで、BluetoothやWi-Fiは電波を発する無線通信であり、それを搭載する機器は電波法上の無線設備にあたるからです。

スマートグラスの構成を思い浮かべてみてください。スマートフォンと接続して通知や字幕を表示するタイプは、ほぼ例外なくBluetoothを使います。カメラ搭載型で撮影した写真や動画をアプリへ転送する機種は、Wi-Fiを併用するものが多くあります。筆者が開発対象にしているEven G2もBluetoothでスマートフォンと連携しますし、Ray-Ban MetaのようにWi-Fi・Bluetoothの両方を搭載する製品もあります。つまり「ディスプレイがあるか」「カメラがあるか」に関係なく、無線でつながるスマートグラスはすべて技適の対象になり得ると考えるべきです。

逆に、技適が関係しないスマートグラスはほとんど存在しません。例外があるとすれば有線接続専用のディスプレイグラス(USB-Cケーブルで映像を受けるだけのタイプ)の一部ですが、その場合でも本体にBluetoothモジュールが組み込まれていれば対象になります。仕様表の「接続方式」欄にBluetooth・Wi-Fi・2.4GHzといった記載があれば、技適の確認が必要だと判断してください。

caution「電源を入れてペアリングしなければ大丈夫」と考えるのは危険です。電波法が問題にするのは無線設備の「使用」であり、Bluetooth接続を有効にして使った時点で電波は発射されています。使う前提で輸入するなら、技適の有無は購入前に確認すべき事項です。

SECTION 03技適マークのない機器を国内で使うリスク

では、技適マークのない機器を日本国内で使うとどうなるのでしょうか。結論から言うと、電波法に抵触するおそれがあります。技適のない無線設備を使用することは、原則として電波法が定める無線局の免許制度等との関係で問題になり得るとされており、総務省も技適マークのない無線機器の使用について注意喚起を行っています。

ここで正確に押さえておきたいのは、責任を問われ得るのは販売者ではなく使用者だという点です。海外のECサイトが日本に発送してくれること、税関を通って手元に届くことは、「日本で使ってよい」ことを意味しません。輸入自体と国内での使用は別の話で、届いた機器を国内で電波を出す形で使った時点で、使用者側の問題になり得ます。「売っているのだから大丈夫だろう」という推測は、この分野では成り立たないのです。

一方で、開発者やテスターのための例外的な仕組みも用意されています。総務省には「技適未取得機器を用いた実験等の特例制度」という届出制度があり、条件を満たせば技適未取得の機器を実験・試験・調査の目的で限られた期間使用できるとされています。ただしこれはあくまで実験等のための特例で、日常的に使い続ける用途を想定したものではありません。制度の詳細・対象条件は総務省の電波利用ホームページで必ず確認してください。

caution本記事は法的助言ではありません。「自分のケースが適法かどうか」の判断はサイト上の記事ではできませんので、具体的な疑問がある場合は総務省の電波利用ホームページの公開情報を確認するか、総合通信局の窓口に問い合わせることをおすすめします。

SECTION 04Ray-Ban Metaが長く日本で買えなかった背景

「技適なんて細かい話では」と感じる方に思い出してほしいのが、Ray-Ban Metaの例です。Meta(旧Facebook)とRay-Banのスマートグラスは海外では数年前から販売されていましたが、日本で正規販売が始まったのは第2世代の2026年5月21日でした。海外での人気を横目に、日本のユーザーは長く正規ルートでは購入できない状態が続いたのです。

グローバル製品が特定の国で発売されない理由は、一般に複合的です。各国の電波関連の認証手続き、ローカライズ(日本語対応)、販売網の整備、法規制への対応などが絡み合うため、「技適が唯一の理由だった」と断定することはできません。ただ、無線機器を日本で正規販売するには日本の認証を通す必要があるのは確かで、電波認証を含む国別の対応がグローバル製品の日本投入を遅らせる要因のひとつになり得ることは、この事例からも読み取れます。

そしてこの「日本発売までのタイムラグ」こそが、個人輸入の動機になりがちです。海外レビューで話題の製品が日本で買えない期間、海外ECや転送サービスで取り寄せたくなる──その気持ちはガジェット好きとしてよく分かります。しかし、日本で正規発売されていない無線機器は、日本の技適を取得していない可能性があるという点を忘れてはいけません。米国版Meta Ray-Ban Display(2025年9月に米国発売、日本未発売)のような「海外限定」製品を検討するときほど、次のセクションで紹介する確認手順が重要になります。

SECTION 05技適の確認方法:購入前にできる3つのチェック

技適の有無は、購入前にある程度自分で調べられます。確認手段は大きく3つです。

ひとつめは、総務省の技適検索を使うこと。総務省の電波利用ホームページには「技術基準適合証明等を受けた機器の検索」ページがあり、メーカー名(氏名又は名称)や型式名で認証の有無を検索できます。コツは、製品のマーケティング名ではなく型式名・モデル番号で探すことです。スマートグラスは販売名(例:「○○ Glasses」)と認証上の型式名が異なることが多く、販売名でヒットしなくても型番で見つかる場合があります。型番は製品仕様ページやパッケージ記載で確認できます。また、メーカーの英文表記・現地法人名で登録されているケースもあるため、表記ゆれを変えて複数回検索してみてください。

ふたつめは、製品本体・パッケージ・画面表示の確認です。技適マークは本体への印字のほか、近年は「電磁的方法による表示」、つまり設定アプリや接続アプリの認証情報画面での表示も認められています。スマートグラスはテンプル(つる)の内側に小さく刻印されているか、ペアリング用スマホアプリの「規制情報」「認証」といったメニューに表示されるパターンが多い印象です。海外レビュー動画で本体内側が映るカットを確認するのも、購入前のチェックとして有効です。

みっつめは、国内正規流通品を選ぶこと。最も確実なのは、日本市場向けに正規販売されている製品を国内の正規ルートで買うことです。日本で正規に販売するためには日本の認証取得が前提になるため、たとえばAmazonで正規取扱されているXREAL One Proのような国内正規流通品であれば、個人輸入のような技適の心配をユーザー側で抱え込む必要が小さくなります。技適だけでなく、日本語サポート・保証・修理の窓口がある点でも、初めての1台は正規流通品が安心です。

note「正規流通品なら何も確認しなくてよい」というわけではありません。並行輸入品が正規品と同じ商品ページに混在するケースもあるため、出品者・販売元の表記は購入時に確認する習慣をつけることをおすすめします。

SECTION 06個人輸入前のチェックリスト

ここまでの内容を、個人輸入を検討する際のチェックリストにまとめます。海外ECのカートに入れる前に、上から順に確認してみてください。

こうして並べると、技適は個人輸入のリスクの「入口」にすぎないことが分かります。電波法の問題をクリアしても、日本語非対応・フィット不良・保証なしという実用面のハードルが残ります。筆者自身、開発者として海外製スマートグラスを日常的に触っていますが、だからこそ「日本で正規に買えるものは正規ルートで買う」のがいちばん合理的だと感じています。

caution本記事の内容は2026年6月時点の公開情報に基づく概要です。電波法および技適制度の正確な内容・最新の運用は、総務省「電波利用ホームページ」で必ず確認してください。個別の適法性判断が必要な場合は、総務省総合通信局等の公的窓口への相談をおすすめします。

SOURCES主な参照元

  1. 総務省 電波利用ホームページ(技適マーク・技術基準適合証明制度、技術基準適合証明等を受けた機器の検索、技適未取得機器を用いた実験等の特例制度)
  2. Meta 公式発表(Ray-Ban Meta 第2世代 日本発売:2026年5月21日)
  3. XREAL 公式サイト(国内正規取扱情報)
  4. Even Realities 公式サイト(Even G2 製品仕様)
← 記事一覧(ホーム)へ戻る